マイクの周波数特性の比較 その2〜Earthworks M30

2002.8.27 ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

 前回、BEHRINGER ECM8000の性能比較について掲載しましたが、今回、より高性能なEarthworks社製"M30"という測定マイクを購入しました。そこで前回と同じように、これらの2本のマイクの比較測定をしたいと思います。

Earthworks社製"M30"

Dimensions (L x D): 229mm x 22mm (9 x .860 inches)
Weight: 225g (.5 lb)
Polar pattern: Omnidirectional
Power requirements: 48V Phantom,10mA
Output: XLR intended to drive a balanced transformerless input. Pin 3 constant +14.5V, Pin 2 signal output (+pressure = +voltage)
Min output load: 600 ohms at pin 2 and pin 3
Peak output voltage: 3V into 1K ohm, 10V into 5K
Noise: 27dB SPL equivalent (A weighted)
Peak acoustic input: 150 db SPL with 5K capacitor coupled load
Sensitivity: 8 mV/Pa (-42 dBV/Pa)
Frequency response on axis: ±1dB 9Hz to 27kHz, +1/-3 dB 5Hz to 30kHz
Influence of magnetic field: 80 A/M induces less than 52dB SPL equivalent

上記データはEarthworks社製HPより

Earthworks M30とBehringer ECM8000との比較測定

 今回は前回と異なり、トニカ・アルミE弦を張ったヴァイオリンの音を50cm離れた位置にマイクをセッティングして、2本のマイクで同時に計測しました。マイクは可能な限り近づけてセッティングしています。ただ、前回とは異なるヴァイオリンを用いて測定していますので、グラフ中の倍音成分の出方は異なっています。前回の楽器よりも、今回の楽器の方が明るい音がするヴァイオリンです。

 測定グラフの上がBehringer ECM8000(価格\5,000円)で、下がEarthworks M30(価格\98,000)です。Behringer ECM8000の性能も(特にコストパフォーマンスは)とても満足できるものだったのですが、今回のEarthworks M30はより高域までフラットな周波数特性を持っています。下の比較グラフでも40KHz弱〜48KHzまでの周波数帯域で、M30の方が高感度で測定されていることが確認できます。ただ、改めてBehringer ECM8000の性能の高さ(コストパフォーマンス)に感心してしまいます。
 Earthworks M30を購入するにあたり、最後までEarthworks M550(特注品で4〜50KHzまでのフラットな周波数特性をもつ)にするかで悩みました。しかしさすがに\260,000の価格は私には厳しすぎるのと、ヴァイオリンの主成分はあくまでも20KHz以下であるということで自分を納得させた次第です。もちろん、M550で測定したらどうなるかという興味はあります。

 以降の私の測定はEarthworks M30で行うことになると思います。


2006追記

上記のレポート後、50KHzまでフラットに測定できるEarthworks M50(旧名称M550)のマッチドペアを購入しました。

     

仕様
●周波数特性: 3Hz〜50kHz (+1/-3dB)
●指向特性: 無指向性
●感度: 30mV/Pa (-30.5dBV/Pa)
●電源: 48V Phantom, 10mA
●最大許容音圧: 142dB SPL
●コネクター: XLR(Pin 2+)
●負荷インピーダンス: 600Ω
●雑音: 22dB SPL equivalent(A weighted)
●寸法(長さ×径): 229mm×22mm
●重量: 225g